実父との3世代同居生活  ~変わっていく家族のかたち~

我が家は5人家族。

80代の私の父と、40代の私たち夫婦、高校生の息子、中学生の娘との3世代で都内の一軒家で暮らしています。

20年前の結婚当初は、夫と二人、実家からそう遠くないマンションで生活をしていました。

しかし、数年後に実母が亡くなり父が独りになったため、実家を新しく建て直し、同居型(トイレもお風呂も2つずつあるけど共用)の住居での共同生活をはじめることになったのです。

同居型にした理由は、この家で主婦は私一人であること(息子が生まれてから専業主婦になりました)、

そして孫たちがいつも視界に入るところで一緒に生活をした方が、父も心豊かに過ごせるのではないかと考えたからでした。

同居を始めた当時、父は60代後半。

子供も小さかったですし、実父は仕事をしていましたので、私は日中は子供たち優先の生活、

夜には父や夫が帰宅し家族揃って食卓を囲む賑やで楽しい毎日を過ごしていました。

父は健康で、早急に同居をしなければならない理由はなかったのですが、

長女である私がゆくゆくは父の面倒をみるもりでいましたし、

夫と父との関係も良好で、家さえ新築できればいつ同居を始めても何も問題がないと考えていたのです。

 

でも、父が退職してからは私たちの生活が一変してしまいました

有り余る時間に戸惑っていたのであろう父が、今まで一度もしたこともない家事にまで口を挟んできたのです。

悪気はないと思うのですが、私の家事のやり方で疑問に思った点をその都度質問してきたり、

手伝おうと思って失敗したり、すっかり私のペースが崩されてしまいました。

イライラが募り、少しずつそれまでの良好な関係は崩れ、一方的に私が父のことを疎ましく思うようになっていったのです。

 

そして年月が経つに連れて積み重なったストレスは体の不調となって現れ、

家にいると息苦しく、動悸が激しくなったり頭痛がしたりという症状に悩まされるようになりました。

~少し離れてみよう。

誰にも邪魔されない、自分だけの時間も大切に~

父はもともと規則正しく勤勉な性格で様々なことに興味を持ち、自身の乱れた姿を一切見せない人でした。

ダンディなその姿が私の自慢でもあり、とても尊敬していましたので、同居したら父を最優先に考え寂しくない老後をおくらせてあげたいと強く思っていました。

しかし現実は父のペースに若い私たち家族の生活が追い付かなくなり、私が強いストレスを感じるようになっていったのです。

このままでは父のことを嫌いになってしまう、と思い、同じような境遇の友人に相談してみました。

 

すると、「それ、ちょっと変わり種の夫源病だよ!」

 

どうやら私は母が先に亡くなっていることもあり、夫ではなく父が退職したことによる「夫源病」とやらになってしまっていたようです。

 

それからしばらくして、勇気を出して自分を最優先にする時間を作ることにしたのです。

 

私の場合は水曜日の午後。

冷めたものや作り置きした物などをほとんど食べたことのない父でしたが、

 

「お父さん、ごめんね!

どうしても水曜日は子供の用事で出掛けなくてはならないのでお昼はお握りとかサンドイッチで我慢してね!」

 

と伝え、早めに父の昼食を準備してから車で家を飛び出します。

子供が帰ってくるまでの3時間ほど、自分一人だけの時間を過ごすのです。

 

行きたかったカフェやレストランに行き、ひとりでゆっくり美味しいものを食べて、化粧品や雑貨を見て回る……

時には気のおけない友人と過ごし、お腹が捩れるほど笑う……

 

初めの頃は、父を置いて自分だけ……ということに罪悪感を覚えていたのですが、これも必要な時間!と思うようにして…

 

~その理由は2つ~

①家族のかたちが変わっていくことを受け入れよう

もともと私の育った家庭では、母が甲斐甲斐しく父の世話をし、同居していた父の実母(私の祖母)もいて、

母は専業主婦でしたが毎日休む暇もなく動き回っていました。

私はそんな母を見て育ったこと、母が既に亡くなっていたことから父に対しては格別の思い入れがあり、

かわいそうな父を私が守ってあげなければならない、一人にしてはいけない、と思い込んでしまっていました。

 

でもそれは私の思い込みで、父は私にそうしてもらいたいわけではないかもしれません。

 

私も結婚し、子供にも恵まれ、日々生活が変化しています。

そしてそれは父も喜んでくれているはずのことなのです。

 

その変化を受け入れて新しい家族のかたちを模索していくことは、結局は家族全員のためになるのだと思うようになりました。

 

②親(父)にとって子供(私)の幸せが自分の幸せだと気付いた

親は子供がいくつになっても子供が一番大切なのです。

 

子供の負担になりなくない、と私が将来を考え思うことはきっと父も同じように考えているのではないでしょうか。

 

私がストレスを抱えて苦しむ姿を見たら父は悲しむでしょう。

そのストレスの原因が自分だと知ったら尚更です。

 

~同じ境遇の友人が心の支え~

 

私には高校時代からの無二の親友がいます。

彼女とは境遇が似ていて、よくお互いの悩みについて話したり愚痴を言い合い、長い間慰めあってきました。

彼女は実母との3世代同居で、彼女の夫と彼女の実母とは折り合いが悪く喧嘩が絶えないとようでした。

 

夫と実父の仲の良い我が家でも3世代同居は時折苦しくなるものでしたが、彼女の状況ではどんなに苦しかったことでしょう。

 

実母との同居は実父との同居よりもはるかに楽だろうと思っていたのですが、関係は人それぞれ。

実父でも実母でも、義父でも義母でも、それぞれの関係性によって良好であるかどうかは異なります。

でも親と同居していない人に、同居の悩みを話してもまず理解してもらえません。

 

私にとって同じ境遇にいる親友の存在は心の支えでした。

 

~勇気を持って一歩踏み出してみよう~

 

毎週水曜日に出かける!と宣言したものの、

自分のためだけに使う時間を捻出するためには、より一層家事の効率化が重要なポイントになってきます。

 

そしてその時間を無駄にしないような計画もある程度立てておかなければなりません。

 

行き先を決めずに出掛けてボーッとしてストレスが解消されることもありますが、行き先を決めて自分のために有意義な時間を過ごした、という満足感も私には必要でした。

 

そこで私は行きたいお店は可能であれば予約をしました。

 

レストランにしても、美容院にしても、友達との約束にしてもカレンダーの水曜日の枠には私だけの予定を先の方まで書き込みました。

 

そして、ゆったりとした自分だけの時間を過ごしたことによって気持ちに余裕ができ、父にも少しずつ優しく接することができるようになっていったのです。

 

これからもまだまだ子供の進学や就職、父の病気や介護など様々な問題が出てくることでしょう。

 

その都度、家族のかたちを見直して頑張りすぎず穏やかな日常をおくっていけたら……と思うのです。

 

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